Interview COPD治療を早く始めることの大切さについて、医師と理学療法士さんにお伺いしました。医師: 霧ヶ丘つだ病院
理事長 津田 徹先生(写真左)
理学療法士: 霧ヶ丘つだ病院
呼吸リハビリテーション科 松尾 聡先生(写真右)

注:この医師および理学療法士のお話がすべてのCOPD患者さんにあてはまるものではありません。
また、患者さんによって適切な治療が異なるため、
必ず医師に相談するようにしましょう。

なぜ、「働き盛りの50代のCOPD治療」というテーマで、早期発見の
大切さをお話しされるのですか?

津田先生:これまでCOPDは高齢者の病気というイメージがありました。年齢でいうと、65歳以上です。COPDでは、呼吸機能が低下して、呼吸が苦しくなるために日常生活で様々な動きが制限を受けますが、65歳以上となると多くの患者さんが仕事を引退しており、毎日どこかへ出かけないといけないわけではないので、「多少、動くのが辛くてもまあ仕方ない・・・」と諦めて、早期の診断や治療への取り組みが進まないというのが現状でした。しかし、50代、言い換えると“まだまだ働き盛りの50代”での発症となると、仕事を続けるためにも早期の治療が大きな意味を持ちます。最近、治療を担当した50代の患者さんも、COPDの発症によって仕事が続けられないという状況で治療を開始しました。この患者さんが特別にCOPDの発症が早かったわけではありません。この50代の患者さんの経験をお伝えすることで、タバコを吸っていた方に、「仕事を少しでも長く続けていくために早くCOPDの検査を受けてみよう」というきっかけを作れるのではないかと思いました。

その患者さんは、どのようなきっかけで、COPDという
診断を受けたのですか?

津田先生:その50代の患者さんは、湾岸にテトラポッドなどを建設する仕事をされていました。ある日、その患者さんが建設現場の事務所の2階へと階段を上がっていた時に、突然息ができなくなって、その場にうずくまってしまったそうです。その時のことを、「陸上にいるのに、まるで溺れているような感じがした」とおっしゃっていました。その患者さんは、今回の息切れが起きる3年前にも、仕事で山道のようなところを登っていた時に息ができなくなり、近くの病院に駆け込んだことがあったそうです。その時は、「病院でもらった薬を吸っておけばいいかな」ぐらいに思い、3年もの間、職場に病気のことは伝えずに、息苦しさや咳、痰などの症状を何となく放置していました。
 ただ、今回は事務所の階段すら上れなくなった状態に、「もう仕事は続けられない・・・」と考え、患者さん自ら会社に退職を申し出るという状況になってしまったのです。しかし、上司の方から「仕事を諦めるのはまだ早い。専門の病院を受診して、きちんと治療して、それから仕事を続けるかどうかを決めた方がいい」とアドバイスをしてもらったようで、呼吸器専門の病院である当院を受診されたのが、その患者さんがCOPDの治療を始めたきっかけでした。

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