Interview 肺がんとCOPD両方の治療により、今は全国を飛び回る生活ができていることが、とてもうれしいです。

このインタビューの内容がすべてのCOPD患者さんに
あてはまるものではありません。
また、患者さんによって適切な治療が異なるため、
必ず医師に相談するようにしましょう。

COPDという診断を
受けたのはいつ頃、
どのようなきっかけですか?

 13年前に、健康診断で「肺気腫の疑いがあるので呼吸器科で肺のCTを撮ってください」という指示があり、病院を受診しました。病院でCTを撮ってもらったら、先生に「確かに肺気腫がありますが、肺がんにも罹患しています」と言われ、一度に肺がんとCOPDの診断を受けることになりました。これが私の治療の始まりです。
 健康診断で指摘されるまでは、特に目立った症状はなく、朝になるといつも出る咳や痰は、たばこが原因かなと思っていました。たばこは1日30本ぐらいを、32年も吸っていましたから。
 がんだと言われたことは、正直始めはかなり落ち込みました。縦隔リンパ節に肺がんの転移があるためにリンパ節がかなり腫れていたらしく、「これだと咳もずいぶん出たでしょう」と先生に言われ、診断を受けてから入院治療を開始するまでの2週間ほどでたばこはきっぱりとやめました。すると、咳はだいぶ出なくなりました。

COPDを改善するために、
どんな治療を始めましたか?

 入院してまずは肺がんを治療するために放射線照射と化学療法を受けました。入院中に体力を落とさないために地下の放射線室から病室に戻る時に階段を使うように努力していたのですが、35回の放射線を受ける間で20回目を超えたあたりからだんだん階段を上りきれなくなっていきました。2階か3階ぐらいの間でちょっとしんどくて、途中で休憩してからまた上がり、そのうちに階段で上ること自体をやめてしまいました。放射線を当てている影響か、COPDが原因なのか、原因が何かはよく分からなかったのですが、今まで平気だった動きで息切れをするようになりました。
 そして退院した後、先生にCOPDの治療をすることを勧められて、お薬による治療を始めました。

 COPDの治療をする中で、私の状態に合わせてお薬も色々変わったのですが、先生が「10年後のあなたの予後が違うから、こっちの方が絶対良い」と治療を提案されたことがあり、今でもその言葉ははっきり覚えています。“10年後”って言われたのが、私にとってはすごくうれしかったんですよね。だって肺がんで来年は生きているかどうか分からないって思っていたので、10年後のことを考えてくれているというのが分かり、先生を信じて一緒に治療を頑張っていきたいと心から思えました。

 ご飯を食べる時も、肘をついて食べるように変えました。孫には肘をつかないように言っていたので、最初は横着な食べ方だと思っていたのですが、楽に食べられるようになりました。

 生活の色々な動作が、ちょっとやり方や呼吸を工夫するだけでできるようになったのは、本当に病院に来て、指導が受けられたお陰だと思っています。教えてもらったことを、自分なりに「こうやったらいいかな?」と考えながら実際にやってみて、コツを掴むよう努力しています。

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