Interview COPDと糖尿病の合併で2つの治療を受けています。これからも趣味のゴルフに行きたい、そんな思いでリハビリと治療を続けています。

このインタビューの内容がすべてのCOPD患者さんに
あてはまるものではありません。
また、患者さんによって適切な治療が異なるため、
必ず医師に相談するようにしましょう。

医師からのコメント

長年の喫煙歴があって、坂道や階段を上るときに息苦しさを感じたら、まずはかかりつけの医師に相談してほしいと思います。

 COPDは、こちらの患者さんのように最初は坂道や階段を上るときに息切れを感じるところから始まりますが、そのうち平地を歩いていても息苦しくなります。そうなってから病院を受診される患者さんも多いのですが、COPDは早く治療介入した方が、より長く肺の機能を維持できるため、何とか少しでも早く受診するきっかけがあればというのが私たち呼吸器専門医の願いです。

 しかし、COPDという病気は認知度が低く、あまり国民に知られていないため、“タバコを吸っていた、息苦しい→COPDかもしれない”という発想にはなかなか至らず、見過ごされることも多いです。そこで、より早期に気づく機会を持っているといえるのが、すでに糖尿病や高血圧で病院に通院されている患者さんです。このような患者さんで、タバコを何年も吸っていて、坂道で息苦しさを感じることがあるような場合は、まずは目の前の主治医に相談してほしいと思います。階段を上って息切れするというだけで病院を受診するのに躊躇を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、いつもの診察の中でなら少し医師に相談してみようかなと思えるのではないでしょうか。
 また、こちらの患者さんはCOPDと糖尿病を併存していましたが、これは決して珍しいことではありません。COPDの患者さんは肺に炎症を起こしているのですが、その肺の炎症が全身にも波及して、全身に様々な影響を及ぼすことがあるからです。糖尿病や高血圧、心臓疾患などを抱えている場合、COPDがこれらの病気に悪影響を与えている可能性もあります。

 COPDを少しでも早く発見して治療してほしいと思う理由の一つに、増悪予防があります。COPD は放っておくと、ある時突然発作のように苦しくなる“増悪”を起こすことがあります。そして、この増悪を起こす度にCOPDはどんどんと悪くなってしまいます。時には増悪が命取りになることもあります。しかし、吸入気管支拡張薬を中心とした薬物療法や呼吸リハビリテーションなど適切な治療介入を行い、増悪予防の注意点など医師よりアドバイスを受けながら病気を管理していけば、増悪はある程度防ぐことができます。

 COPDの治療目標には、健康寿命を延ばすこともあります。健康寿命における健康とは、こちらの患者さんがおっしゃっていたように、ご自身のことが一人できちんとできて、さらにはゴルフのような趣味も楽しむことができることだと思います。たとえ100歳まで生きたとしても、呼吸が苦しくほとんど寝たきりでいるのと、自分らしく生活しているのでは大きく違います。今、息切れを感じておられる方がいましたら、少しでも早くかかりつけ医に相談していただき、どのようなときに息切れを感じるかなど、そんなところからお話を始められたらと思います。