Interview COPDと糖尿病の合併で2つの治療を受けています。これからも趣味のゴルフに行きたい、そんな思いでリハビリと治療を続けています。

このインタビューの内容がすべてのCOPD患者さんに
あてはまるものではありません。
また、患者さんによって適切な治療が異なるため、
必ず医師に相談するようにしましょう。

理学療法士からのコメント

楽しみながら続けられる呼吸リハビリテーションが重要です。
そのコツを病院で教わりながら取り組んでほしいと思います。


 COPDの治療は、禁煙、お薬、呼吸リハビリテーションの3つが基本となりますが、病院を早く受診することの意義は、お薬だけでなく、呼吸リハビリテーションについても専門的なアドバイスを受けながらできるという点が大きいと思います。当施設でのリハビリは、普通に運動しているように見えて、リハビリの効果を少しでも高めるための工夫や、患者さんが少しでも楽に続けられるためのアイデアが入っています。
 例えば、COPDの患者さんは呼吸が小さくなっているために、胸郭が広がらずに硬くなってしまっているので、動画を見ながら行う準備体操では、胸郭をしっかりとストレッチしています。胸郭が硬くなると、肺も広がらなくなるので、余計に呼吸がしにくくなります。

 また、通常は高齢になると速く動くための筋肉が衰えてくるのですが、COPDの患者さんは、肺で起こっている炎症が全身の筋肉や骨にも影響を及ぼして、長く動くための有酸素系の筋肉が痩せてくる傾向があります。そのため、当施設では自転車エルゴメーターなどを使って、30分の持久的なトレーニングをしています。トレッドミルのような立って行う運動だと苦しくなってしまい、続かない原因になるため、自転車のように座ってできる運動が続けやすいと考えて、自転車をこいでもらっています。
 患者さんが飽きずに30分間、トレーニングを続けられるようにモニターで映像を見られるようにしています。下を向いてしまうと、胸が圧迫されて苦しさが増すので、モニターは上に設置して、姿勢が伸びた状態でトレーニングできるような環境づくりにも工夫をしています。

 苦しいトレーニングというのは、いくら治療のためとはいっても嫌なものです。
いかに楽しくできるかが続けるために大切だと思います。そういう意味でも、こちらの患者さんが、ご自身で飽きないようにコースを変えながら、ウォーキングに取り組んでいるというのはとても良いことだと思いました。その時に、このホームページにあるようなウォーキングマップなどを活用してみるのも有用だと思います。平たんで歩きやすい道が紹介されているのは、とても大切なポイントです。ご自身で道を探しながら散歩しているうちに坂道に入ってしまい、大変な思いをしたので、もうウォーキングをやめてしまったということになると、もったいないですよね。
 また、コロナの影響で、リハビリ施設が閉鎖したり、外へ出られない状況が起きても、自宅でできるトレーニング習慣をつくることも大切だと思います。当施設ではYouTubeに持久的なトレーニングを中心に動画をアップして、ご自宅で運動していただくようにしています。高齢の方はYouTubeと聞くとそれだけで敬遠しがちですが、ぜひ、ご家族などにサポートいただき、できるようになると、社会の状況に左右されずにご自身のペースで運動を続けられます。
 息苦しさのために動かなくなった、リハビリが大変でやめた、コロナ禍で外へ出かけなくなった、理由は色々あると思いますが、こうやって動かない生活習慣になっていくと肺の機能も、体の筋力もどんどんと衰えていきます。そして、一度、低下した筋力を回復させるのは本当に大変です。そのため、悪くなる前、動かなくなる前に、少しでも早くCOPDの治療を始めて、そして、長く続ける道を、担当医と一緒に探してほしいと思います。